羅臼岳登山道8月17日の状況

2021年8月30日

知床羅臼ビジターセンターでは、シーズン中に羅臼岳登山道の現地調査をおこなっています。
8月も先月に続き、羅臼温泉から岩尾別へ半島を横切るように、山ひとつ乗り越えてきました。

暑すぎず、寒いということもなく、心地よい風が吹き、 恵まれたコンディションでの踏査記録となりましたが…

羅臼温泉コースは長い・厳しい・上級者向けの登山道です。
利用の前には当ビジターセンターで最新情報の入手をお願いいたします。


8/17、日の出は既に夏至より1時間近く遅い。周囲がしっかりと明るくなった5:00出発。
麓から山頂はガスで拝めないが、泊場付近から上は晴れているだろうことが伺える。

登山道は山岳会はじめ関係機関の多くの手で整備されている。
刈ったばかりのササの葉が、苦労を物語る。ありがたい。

30分少々進んだところでクマ糞発見。彼らも登山道を歩いている。
視界の悪いところは声を出すなど注意しながら進もう。

羅臼温泉コース上で、比較的安定して水が採れる、泊場。
開けた地形を下から見上げて右手の斜面に流れがある。

湧き水が流れ込んでいる川は、硫黄成分で真っ白!飲用はしない。

泊場から枯れた沢を進んで先が、このコースの核心部となる急登エリア。
まずは屏風岩。苦しい登りだが、岩壁の見事な襞や、背後の雲海などぜひ目にしてほしい。

そこそこ絞られたところで追い打ち、岩清水への直登。山頂への近道だ。

ザラザラと砂利に足をとられ、思うように進めない。息切れとの闘い。

山頂直下の岩場では、7月に滑落・ヘリ救助の事故が発生している。
こんにちはー、お先にどうぞー、頑張ってくださいー、
登山者どうしコミュニケーションをとりながら、到着。

ハイマツ、コケモモがたっぷりと実をつけ、ギンザンマシコが群れて飛び、
岩尾別コースの樹林帯ではエゾリス、エゾタヌキとの遭遇も。

雨の少ない夏であったものの、弥三吉水はまだ潤沢(岩清水、銀嶺水はほぼ枯渇)。
下山したウトロは青空。
野天の温泉「岩尾別温泉・三段の湯」も数年ぶりだろうか再開していた。

羅臼の海岸沿いから、半島のいちばん高いところを経由して、岩尾別の河口まで。
高度とともに変化する環境、知床の豊かさを改めて深く確認できた一日でありました。


羅臼岳登山について、上記の羅臼-ウトロ横断は大変な長丁場となるため、
一般的にはおすすめしていません。

9月以降ますます日は短くなり、気温も下がります。
過去には日没後の下山や道迷いによるトラブルで、警察や消防が何度も出動しています。

登山を検討されているかたは、 を参考に計画いただき、出発前には施設にお立ち寄りください。

知床財団イナバ